COLUMN(コラム)
2025.09.29
[解析事例]線形座屈解析から座屈荷重を求める

使用ソフトウェア
Simcenter FEMAP with Nastran
概要
■ Simcenter Nastran 線形座屈解析
線形座屈解析は、構造物に圧縮荷重をかけたときに起こる座屈現象を扱う解析です。
■ 座屈とは?
構造物に圧縮荷重を加え続け、その荷重がある大きさを超えたときに急激に変形する(湾曲する)現象のことを「座屈」と言います。
座屈現象を大きく分類すると「分岐座屈」、「屈服座屈」、「飛び移り座屈」の3つに分けられます。
Simcenter Nastran の線形座屈解析では「分岐座屈」のみ取り扱えます。
分岐座屈
座屈点に達する前までは、荷重-変位の関係は線形の挙動を示しますが、座屈点に到達後は、それまでの線形の挙動とは別の挙動になる状態を扱うのが分岐座屈です。
座屈点に到達すると、安定したつり合い状態から不安定なつり合い状態に急激に移行し、湾曲します。
事例:オイラー座屈(euler buckling)
本事例では、分岐座屈の代表例であるオイラー座屈(細長い棒状の部材に圧縮荷重をかけたときの座屈)を例にとり、座屈荷重を求める式を紹介します。


■ Simcenter Nastran 線形座屈解析の解法
線形座屈解析の解法は固有値問題を解くことと同じため、次の解法を利用できます。
・Lanczos法(デフォルト)
・逆べき乗法
■ Simcenter Nastran 線形座屈解析の解析結果
線形座屈解析の結果としては、座屈モード、座屈係数が出力されます。それと同時に線形静解析も実行され、線形静解析の結果として、変位や応力などが出力されます。
座屈係数
座屈係数とは、解析で設定した荷重値の何倍の荷重がかかると座屈するか、を表す係数です。
座屈モードと座屈係数の出力先は、アウトプットセット名「Eigenvalue ## nnn.nnn」です。
・「##」部 :座屈モードの次数
・「nnn.nnn」部 :座屈係数

■ 座屈係数を利用して座屈荷重を求める
線形座屈解析で得られた座屈係数を解析で設定した荷重値に掛けると、実際に座屈する荷重(座屈荷重)が求められます。※1
[式] 座屈荷重 = 解析で設定した荷重 × 座屈係数
例えば、解析時の適用荷重が 1N、座屈係数が 100 の場合、座屈荷重は 1 × 100 = 100N です。
また、解析時の適用荷重が「実際に構造物に作用する荷重」の場合は、座屈係数を「座屈に対する安全率」と見ることもできます。
※1 座屈係数は、正の値、負の値があります。それぞれ、次を示します。
・正の値の場合:座屈解析時の載荷方向に「解析時の荷重値×座屈係数」の荷重がかかると座屈が発生する
・負の値の場合:座屈解析時の載荷方向とは逆方向に「解析時の荷重値×座屈係数」の荷重がかかると座屈が発生する
Simcenter FEMAP でのポスト処理
本事例では、梁要素(ビーム要素)でFEMモデルを作成しました。
梁要素(ビーム要素)は線で表示されるため、そのまま解析結果を表示すると、応力状態や形状のイメージを把握しにくいことがあります。
Simcenter FEMAP のポスト処理機能には、梁要素(ビーム要素)の解析結果をより視覚的に表示する機能が豊富に用意されています。
・断面形状付き表示
・ビームダイアグラム表示 など



