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電磁波解析は低周波と高周波に大別されます。周波数によって決まるものではなく、ターゲットとなる事象によってどちらのアプローチが適しているかというところになります。
低周波アプローチは起電力と熱による影響が無視できない場合であり、解法はより波に近いと言えます。高周波は光線的で、指向性や輻射経路で評価されるような 電気ノイズ・法規制といったものがターゲットになります。
Simcenter3Dの低周波電磁5つの特徴
- 高度な材料モデリング:
ヒステリシスモデリングのための Jiles-Atherton パラメータを持つ独自のデータベース
永久磁石の減磁評価(可逆・不可逆)に対応 - 6自由度モーション対応:
全自由度を考慮するような電磁駆動の可動体に対応
(リニアモータやアクチュエータ・カプラなど)。 - 高度なメッシング:CAD機能を活かした、柔軟で使いやすいメッシング環境を提供
- 設計探査:HEEDSと連携した寸法最適化
- マルチフィジクス:振動音響・熱流体・機構弾性体解析などにシームレスに対応
低周波電磁の解法
Simcenter 3Dでは電磁場の時間変化ステージによって3つの解法を用意しています。等方性/異方性材料、線形/非線形材料に対応していますが、周期ハーモニクス解析においては非線形材料の扱いは疑似的なものとなります(※1)。
- 定常解析
- 非定常解析
- 周期ハーモニクス解析
(※1)周期ハーモニクス解析では非線形B-Hカーブの数点を利用しておおよその非線形特性を表現しようと試みます。
損失の計算
オーム損、ヒステリシス損、渦電流損を算出します。解析精度を落とさず、計算負荷がかからぬ様、解法や電磁特性を考慮し、算出方法を変えています。
オーム損失の算出では、サーフェイスインピーダンスを利用してソリューションボリュームを削減します。導体内部の電流が十分小さいと仮定できるとき(交流の表皮効果)、表面電流密度を浸透深さでスケーリングした結果をオーム損失として評価します。
鉄損(ヒステリシス損、渦電流損)の算出ではスタインメッツの実験式だけでなく、
理論ベースのJiles-Athertonモデルによるアプローチが選択できます。また、周期ハーモニクス解析では複素透磁率を導入し 高速で高精度な鉄損計算を実現しています。
音響や機構解析との連成
電磁界解析で得た時刻歴の磁気歪力をFFT変換し、音響音源として利用します。磁気ゆがみによるハム音などの現象に対応します。
また、回転数帯におけるスイープ周波数領域の磁気歪力結果を利用して、機構解析の駆動力として利用できます。
熱との連成
電磁界解析で得た損失結果を用いて導体内における熱伝導解析を行います。また、その結果得られた温度分布を初期条件としてマッピングし、温度依存の透磁率を用いた電磁界解析を行います。
主な結果出力
- 磁束密度
- 磁界強度
- 損失密度
(オーム損失 /ヒステリシス損失 /渦電流損失) - 減磁 /消磁予測
- インダクタンスマトリクス
- Force /トルク
- 温度
- 電流密度
- 電界強度
準備中