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弱い乱れの自然対流

  • テーマ:弱い乱れの自然対流
  • キーワード:建築、室内、空調、自然対流、熱伝達、低Re型乱流モデル

冷暖房時の室温や通風による効果の検討にはCFDが有効な手段ですが、壁面での対流による熱伝達現象を正確に予測する必要があります。壁面付近の対流熱伝達は弱い乱れの自然対流により生じるため壁面付近の流れと熱を精度良く計算することが重要になります。最近の低炭素社会の実現に向け複層ガラスや壁の断熱性能の向上が進み室内環境を適切に保つことがますます重要になっています。ここでは、室内空間の温度予測の基礎検証として正方キャビティによる自然対流のシミュレーションを紹介します。

概要

この事例では、Tianらが行った一辺=750mmの正方キャビティによる自然対流の弱い乱流場*1をCFDで再現し実験結果との比較により計算精度の検証を行っています。実験では模式図のように垂直方向壁の片側を温水により温度=50℃で加熱、もう片側を冷水により温度=10℃に冷却し上下の壁は、スチールプレート、スチレンボードとウッドプレートで構成され雰囲気温度=30℃に設定されています。

実験の模式図

この自然対流実験での無次元量などを以下に示します。レイリー数がある限界値(臨界レイリー数)以下では主に熱伝導によって伝わり、限界値以上では対流によって伝達されます。垂直平板による気体や水では実験的にRa = 5×108 で層流からの変動が起こり、Ra >1010で完全に乱流に遷移します。このモデルのレイリー(Ra)数を算出するとRa =1.658×109になるので乱流に遷移している状態です。

CFDでは以下の計算条件により、定常計算で求めた結果を初期値として時刻=3600秒までを計算しています。物性値は温度毎のテーブルデータとして定義しており、温度=20℃の値のみを示します。

項目
流体空気
 温度=20℃での物性値
 密度1.2047 kg/m^3
 粘性1.8210E-05 kg/m*s
 体積弾性率 3.2000E-03 1/K
 熱伝導率2.5596E-02 W/m*K
 比熱1006.0895 K/kg*K
乱流モデル低Re型RealizableK-ε
 乱れ強さ0.001 %
 乱れ長さスケール0.001 m
壁関数Van Driest減衰関数
物理時間3600 秒
計算条件

キャビティ内の温度分布を動画で示します。加熱面・冷却面では境界層が形成される影響で温度勾配が急峻になり、キャビティ中央部付近では高さ方向に一様な温度成層が形成されていることが分かります。

正方キャビティの温度分布

実験値との比較では、高さ方向平均温度を見ると下面では2℃程度の差異、また幅方向中心平均温度では上面付近で2℃程度の差異があるものの概ねの傾向は捉えていることが分かります。

高さ方向平均温度グラフ
幅方向中心平均温度グラフ

参考文献:
*1.Y.S.Tian and T.G. Karayiannis, Low turbulence natural convection in an air filled square
Cavity Part I: the thermal and Fluid floow fields, International Journal of Heat and Mass Transfer, 43 (2000) pp.849-866.