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ハルトマン共鳴器

  • テーマ:ハルトマンジェネレーター
  • キーワード:高マッハ数、圧縮性、共鳴、衝撃波、着火、低騒音化
図1.ハルトマンジェネレーター形状図

背景

現在は、ナビゲーション システム、テレビ、地球観測などの基本的なサービスを提供する衛星インフラストラクチャに依存する生活が広まり、地球軌道上の衛星の数は近年大幅に増加することが予想されています。このため宇宙空間で長期間でも動作可能な信頼性が高くコンパクトな点火システムが必要になります。ハルトマンジェネレーターによる共鳴点火システムは、構成が単純で従来の着火システムの代替手段として評価されているものです。またハルトマンジェネレーターは高出力の音を発生させることができ、特定の周波数成分の圧力変動を生じるという利点から噴流制御装置として航空機用ジェットエンジンの騒音制御装置としての活用も検討されています。

概要

ハルトマンジェネレーターの原理は、

  1. ノズルから高速なジェットを噴出させ共鳴管に衝突させることで共鳴管内の圧力が上昇します。
  2. 共鳴管内の圧力上昇に伴い圧力波が上流側に押し出され管内の圧力が低下します。
  3. 共鳴管内の圧力が元に戻りジェットが再び管内に流入します。

このサイクルを数度繰り返すと安定した状態に遷移し、ノズルと共鳴管入口の間に衝撃波形成され、衝撃波の後流から共鳴管内の温度が上昇する現象が生じます。
ノズルおよび共鳴管直径とノズル共鳴管距離を固定し、圧力波が進行し共鳴管内の温度上昇をSimcenter FloEFDを用いて計算しています。

項目
流体空気(状態方程式による理想気体)
流入全圧: 237455.44 Pa
全温:  371.48 K
流出全圧: 103145.57 Pa
全温: 288.34 K
乱れ量乱れ強さ: 2 %
乱れの長さスケール: 0.0018 m
外部壁面断熱
物理時間0.003 s
計算条件
  • ノズル単体(共鳴管なし)の流れの状態をマッハ数および温度分布で示します。
    ノズルからのジェットがマッハ数=1.4程度まで加速して噴出し、気流の温度はノズル内が高く噴出後は温度が低下します。ノズル近傍を拡大したマッハ数分布図では、フリージェット境界で反射してオブリックショックでマッハディスクが複数個形成されることが確認出来ます。
図2-1.ノズル単体によるマッハ数分布図
図2-1.ノズル単体によるマッハ数分布図(ノズル近傍拡大)
図2-3.ノズル単体による温度分布図
  • ノズルおよび共鳴管の計算結果を以下に示します。
    前述のように、ノズルから高速なジェットが噴出し共鳴管内の圧力が上昇します。
    その後、共鳴管内の圧力上昇に伴い圧力波が上流側に押し出され管内の圧力が低下、ジェットが再び管内に流入して行くことがマッハ数分布動画で確認出来ます。
    温度分布については、ノズルと共鳴管入口の間に衝撃波形成され、衝撃波の後流から共鳴管内の温度が上昇、共鳴管最下部で最も高温になることが分かります。
    共鳴管内部の温度が上昇する点については、散逸メカニズム、衝撃波の不可逆性、およびチューブの内壁の摩擦などによって温度上昇に影響を及ぼし、ウィルソンとレスラーによっても温度上昇のメカニズムが報告されています。
ノズルおよび共鳴管によるマッハ数分布動画
ノズルおよび共鳴管による温度分布動画