線形弾性系(塑性変形を起こす前)の応答スペクトル解析 /Simcenter FEMAP with Nastranの解析事例です。
構造系の振動問題を考える場合、構造物が塑性変形を起す前と後に分ける必要があります。
ここでは、材料の特性変化のない、線形弾性系(塑性変形を起す前)の応答スペクトルを説明します。外から働く振動の時刻的変化が明らかな場合、過渡応答解析をすることで、精度の良い結果を時刻に沿って得ることができます。しかし、設計を行う場合、時間に関係なく、最大変位、力を知ることは非常に重要です。
1自由度系で説明しましょう。
時刻tに外力P(t)が働いた場合、
変形量uと剛性kの積が抵抗力Fsとなり、
速度vと減衰係数cの積が減衰力Fdとなり、
ニュートンの運動の第2法則により、次の式が成立します。
加速度a、質量mとします。
この式は、ある動き(ap(t))に対する系の応答は、系の固有振動数ωnと減衰定数ζのみに依存しており、質量mが変わろうと、剛性kが変わろうとも、同じ固有振動数ωnと減衰定数ζを持つ系の応答は同一となることを示しています。
応答スペクトル解析の場合、加振条件をどれだけ現実の条件を設定できるかが重要ですが、今回は上の正弦波をX方向の入力条件とします。
1自由度の応答スペクトル解析結果の加速度は、
右図のようになります。
想定した構造物の多自由度モデルに同じ、
振動条件を入力として、過渡応答解析を行いました。
同じ部位の加速度は右図のようになりました。
解析に利用した機能
本解析は、Simcenter FEMAP with Nastran (Dynamic Response) 応答スペクトル解析の機能を使用しました。